ElGamal 暗号プログラム

機能概要

Java言語で記述された ElGamal 暗号プログラムのサンプルです．

ElGamal 暗号の暗号化と復号を行います．また，共通鍵暗号 (AES) と組合わせてハイブリッド暗号機能を実現します．

暗号化
公開鍵 y，p，g，平文 m を入力として，以下の計算を行い暗号文 c を生成する．
c = (c₁, c₂) = (g ^r (mod p), y ^r m (mod p))
復号
秘密鍵 x，公開鍵 p，暗号文 (c₁, c₂) を入力として，以下の計算を行い暗号文を復号し，平文 m を求める．
m = c₂ / c₁ ^x (mod p)
ハイブリッド暗号の暗号化
公開鍵 y，p，g，平文 m を入力として，以下の計算を行い暗号文 c を生成する．
1. 128 ビットの乱数を生成し，AES 暗号の共通鍵 K を生成する．
2. m をAES 暗号を用いて共通鍵 K ，AES/CBC/PKCS5Padding モードで暗号化し，c₀ を計算する．
3. (c₁, c₂) = (g ^r (mod p), y ^r K (mod p)) を計算する (ElGamal 暗号で K を暗号化)．
4. c = (c₀, c₁, c₂) を暗号文とする．
ハイブリッド暗号の復号
秘密鍵 x，公開鍵 p，暗号文 (c₀, c₁, c₂) を入力として，以下の計算を行い暗号文を復号し，平文 m を求める．
1. K = c₂ / c₁ ^x (mod p)
2. c₀ をAES 暗号を用い共通鍵 K，AES/CBC/PKCS5Padding モードで復号し，m を求める．

利用上の注意点は，以下です．

多倍長整数演算 (MPInt) クラスを利用しています．

プログラム

パラメータ生成 (ParamGen)
有限体上の離散対数問題の以下のパラメータ (ElGamal 暗号のパラメータ) を生成するプログラムです (RFC-2631 のアルゴリズムによる）(→ システムパラメータ生成)．
- 素数 p
- 素数 q (q | p - 1)
- 生成元 g ：位数 q の 1 < g < p なる部分群の生成元．
ソースプログラムは， ParamGen.java です．プログラムは，Javaコマンドにより以下のよう起動します．
```
 java Blanclux.tools.ParamGen pLen [qLen [paramFile]]

  パラメータ：
    pLen  : パラメータ p のビット長
    qLen  : パラメータ q のビット長  (デフォルト：160)
    paramFile : パラメータファイル名 (デフォルト："param.dat")
```
出力されるパラメータファイルの形式は，"パラメータ名 (p, q, g) = 16進データ文字列" 形式のデータから構成されるテキスト形式です．

クラス

ElGamal クラス (ElGamal.java)
ElGamal 暗号およびハイブリッド暗号のアルゴリズムを実装するクラスであり，以下のメソッドを持つ．
- ElGamal()
  コンストラクタである．
- int getBlockSize()
  暗号のブロック長を返す．ブロック長は，パラメータ p のバイト長であり，ElGamal 暗号 1 回で暗号化できる平文の長さになる．
- int getCipherBlockSize()
  暗号化データの長さを返す．
- void initEncrypt(Key key, SecureRandom rng)
  暗号化のための初期化を行う．公開鍵 key と乱数ジェネレータ rng を与える．
- void initDecrypt(Key key)
  復号のための初期化を行う．秘密鍵 key を与える．
- void initDecrypt(MPInt p, MPInt g)
  復号のための初期化を行う．パラメータ p，g を与える．
- void encrypt(byte[] in, int inOffset, int inLen, byte[] out, int outOffset)
  in の inOffset から始まる長さ inLen のデータを暗号化して，out の outOffset から始まる領域に格納する． out の領域は，事前に確保されている必要がある．
- int decrypt(byte[] in, int inOffset, byte[] out, int outOffset)
  in の inOffset から始まるデータを復号して，out の outOffset から始まる領域に格納する． out の領域は，事前に確保されている必要がある．復号データの長さ (バイト長) が返る．
- byte[] encrypt_hybrid(byte[] src, int len)
  領域 src からの len バイトをハイブリッド暗号化し，暗号文を返す．
- byte[] decrypt_hybrid(byte[] src, int len)
  領域 src からの len バイトをハイブリッド暗号で復号し，復号結果を返す．
- byte[] encrypt(byte[] src, int len)
  領域 src からの len バイトを暗号化し，暗号文を返す．入力データは，(ブロック長 - 2) の単位に分割され暗号化される．各ブロックの先頭バイトには，パディング 0x80 が付加される．
- byte[] decrypt(byte[] src, int len)
  領域 src からの len バイトを復号し，復号結果を返す．
ElGamalPrivateKey クラス (ElGamalPrivateKey.java)
ElGamal 暗号の秘密鍵を保持するクラスであり，以下のメソッドを持つ．
- ElGamalPublicKey(MPInt p, MPInt g, MPInt publicKey, MPInt secretKey)
  コンストラクタである．モジュラス p，生成元 g，公開鍵 publicKey，および秘密鍵 secretKey を与える．
- String getAlgorithm()
  アルゴリズム名 ("ElGamal") を返す．
- MPInt getGenerator()
  システムパラメータの生成元 g を返す．
- MPInt getModulus()
  システムパラメータの素数(モジュラス) p を返す．
- MPInt getPrivate()
  秘密鍵 x を返す．
- MPInt getPublic()
  公開鍵 y を返す．
- String toString()
  鍵データ (p, g, y, x) の文字表現を返す．
ElGamalPublicKey クラス (ElGamalPublicKey.java)
ElGamal 暗号の公開鍵を保持するクラスであり，以下のメソッドを持つ．
- ElGamalPublicKey(MPInt p, MPInt g, MPInt publicKey)
  コンストラクタである．モジュラス p，生成元 g，および公開鍵 publicKey を与える．
- String getAlgorithm()
  アルゴリズム名 ("ElGamal") を返す．
- MPInt getGenerator()
  システムパラメータの生成元 g を返す．
- MPInt getModulus()
  システムパラメータの素数(モジュラス) p を返す．
- MPInt getPublic()
  公開鍵 y を返す．
- String toString()
  鍵データ (p, g, y) の文字表現を返す．