ソフトウェア開発管理
ソフトウェアは著作権によって保護されている. 著作権者が,その複製と配布など著作にまつわる権利をコントロールする. ソフトウェアのユーザーは,著作権者から利用許可(利用許諾)を受けてソフトウェアを使用することができる.この利用許可が「ソフトウェアライセンス」である.
ソフトウェアライセンスは,ソフトウェアの使用,配布,改変に関する条件を明文化したものである.
ソフトウェアライセンスには,次の種類がある.
フリーソフトウェア
- フリーソフトウェア
- 使用,配布,改変が自由なソフトウェア
- ソースコードは公開
- 無料とは限らない
- フリーソフト(フリーウェア)
- 無料のソフトウェア
- ソースコードは非公開の場合もある
- パブリックドメイン
- Free Software Foundation (FSF)
フリーソフトウェアの開発,利用,普及を推進することを目的に,1985年に設立された非営利団体である.
「フリーソフトウェア」のフリーとはそのソフトウェアのユーザに与えられる 次の 4 種類の自由を意味している.
- 実行する自由
- 改変する自由
- 再配布する自由
- 改変したものを公開する自由
これらの自由がコピーレフトとして適用される. コピーレフトの概念は,ソフトウェアを再配布する場合,ソフトウェアを改変したかどうかにかかわらず,配布される人にも使用,配布,改変の自由を与えなければならないということである.
コピーレフトの定義をまとめると次のようになる.
- 著作物の利用,コピー,再配布,翻案を制限しない.
- 改変したもの(二次的著作物)の再配布を制限しない.
- 二次的著作物の利用,コピー,再配布,翻案を制限してはならない.
- コピー,再配布の際には,その後の利用と翻案に制限が無いよう,全ての情報を含める必要がある(ソフトウェアではソースコード含む).
翻案が制限されない反面,原著作物の二次的著作物にも同一のコピーレフトのライセンスを適用し,これを明記しなければならない.
- Open Source Definition (OSD)
Open Source Initiative (OSI) は.オープンソース・ライセンスの要件として次の Open Source Definition (OSD)を定義している.
- 再配布の自由
- ソースコードの含有
- 派生ソフトウェアの配布
- 作者のソースコードの完全性
- 個人やグループに対する差別の禁止
- 利用する分野に対する差別の禁止
- 追加ライセンスの禁止
- 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
- 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
- ライセンスは技術中立的
主要なライセンス
- GNU GPL: GNU General Public License (GNU 一般公衆利用許諾契約書)
フリーソフトウェアライセンスであり,コピーレフトを主張するライセンスである.
- GNU LGPL: GNU Lesser General Public License (GNU 劣等一般公衆利用許諾契約書)
GPLと互換性のあるライセンスであり,ソフトウェアを作るために使う部品集であるライブラリのソースコードを公開するためのライセンスとして利用されてきた. ライブラリは,他のプログラムに組み込まれて初めて役に立つが,GPLでは組み込んだプログラムもオープンソースになってしまう.そこで,組み込むだけならオープンソースにならないように,効力を弱くしたのがLGPLである. フリーソフトのライブラリを,有償ソフトからリンクして使用することや,フリーソフトのライブラリーを使用する有償ソフトとともに配布することが許諾される.
- 修正済みBSDライセンス
無保証と免責を宣言し,再配布する際に著作権表示を行うことのみを条件とする,極めて制限の緩いライセンスである (非コピーレフトのライセンス) , 著作権表示さえしておけば,BSDライセンスのコードを他のプログラムに組み込み,しかも組み込み後のコードを非公開にできるため,商用化のしやすいライセンスである.また,GPLのように再配布時のライセンス条件を制限することもない.
その他,各種のライセンスとGNU GPLとの関係については,以下を参照.
さまざまなライセンスとそれらについての解説
- 著作権
文書や音楽・美術・映画などの創作物に関する権利であり,創作者が持っている自分の作品をコントロールするための権利である.
- 著作者人格権
作者の人格的利益を保護する権利
- 著作財産権
著作物の利用を許諾したり禁止する権利
- 特許
- 独占権
発明をしたものに独占権を与え発明を保護する(新規性と技術的進歩性があること).
・発明のインセンティブを高める.
- 公開
発明を公開する.
・技術を公開し,無駄な開発を避けるとともに,社会全体の技術開発を促進する.
ソフトウェア特許
技術的にソフトウェアで実現されている特許をソフトウェア特許と呼ぶ.ただし,俗称であり,法律上他の特許と区別されるものではない.
ソフトウェア特許に関しては,特許庁の審査基準において特別な基準が設けられており,これによれば,「ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより,ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されること」が必要になる.
ソフトウェア特許にとして,次のようなものがある.
- コンピュータを前提としたアルゴリズム(技術的なもの)
- プログラムそのもの
- ソフトウェアを含むハードウェア
- コンピュータとネットワークを利用するビジネス方法(ビジネスモデル特許)
- 特許と著作権
特許と著作権の主な違いを示す.
特許と著作権
項目 |
特許 |
著作権 |
保護の対象 |
アイデア |
表現 |
独占の性質 |
絶対的 |
相対的 |
権利の取得 |
出願が必要 |
自然に発生 |
権利期間 |
出願から20年間 |
公表後または死後70年間 |