暗号の数学

標数 3 の体

体の表現

標数3の有限体 \(\mathbb{F}_{3^m}\) は,\(F_3[x]\) を各係数が標数3の基礎体 \(\mathbb{F}_3\) から構成される任意の多項式,\(f (x)\) を \(m\) 次の既約多項式として,

\[ \mathbb{F}_{3^m} = F_3[x]/f(x) \]

で表される.

既約多項式は,多くの次数で3項式により表され,計算量の削減の観点から実用上3項式を用いることが多い.3項式を,

\[f(x) = x^m+ax^k+b\qquad (a,b \in(1,2), 0 \lt k \lt m)\]

で表す.

標数3の基礎体 \(\mathbb{F}_3 = \{0, 1, 2\}\) の元 \(a\) は,\(a = (a_h, a_l)\) の2ビットで表すことができる.ここで,\(a_h,a_l\) はそれぞれ2桁の2進数の上位ビットと下位ビットであり,(\(a_h, a_l\)) の取りうる値は,\((0,0)\),\((0,1)\),\((1,0)\) のいずれかである.

有限体 \(\mathbb{F}_{3^m}\) の元を \(A(x)\) とするとき,\(A(x)\) の多項式表現は,

\[ A(x) = a_{m-1} \cdot x^{m-1} + a_{m-2} \cdot x^{m-2} + \cdots + a_0 \]

となる.この元の各係数 \(a_i (i = 0, 1, \ldots , m-1)\) は基礎体 \(\mathbb{F}_3\) の元であり,各係数は基礎体のビット表現を用いて,\(a_i = (a_{ih}, a_{il})\) と表すことができる.また,各次数の上位ビットと下位ビットをまとめることにより,次の2つのビット列で表現することができる.

\[ A_h = ( a_{(m-1)h}, a_{(m-2)h}, \ldots a_{0h} ) \] \[ A_l = ( a_{(m-1)l}, a_{(m-2)l}, \ldots a_{0l} ) \]

これを用いると,\(\mathbb{F}_{3^m}\) の元 \(A(x)\) は

\[ A(x) = (A_h, A_l) \]

で表される.

体 \(\mathbb{F}_{3^m}\) 上の演算

体 \(\mathbb{F}_{3^m}\) 上の基本演算を定義する.


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