カオス暗号
カオス暗号方式は,カオス関数でカオス信号を発生し,このカオス信号で暗号文を複雑化し,暗号強度を高くする.カオス暗号方式は,カオス関数における次の特性を利用する.
過去に数々のカオス暗号の提案があるが,カオス暗号で安全性が合理的に説明されたものは存在しない. なお,カオス暗号とは,カオス現象を利用した暗号方式のことであり,特定の暗号アルゴリズムのことではない.
カオス関数として,以下のロジスティック関数がある.
ロジスティック写像 (関数)
ロジスティック写像は,生物の個体数が世代を重ねることでどのように変動していくのかのモデルとして説明されている. これは,ロジスティック関数と呼ばれる次の差分方程式を用いて生物の個体数の変動が解析されている.
Xn+1 = a Xn(1 - Xn) (n = 0, 1, 2,・・・)
a ≧ 4 のとき,Xn はカオス系となる. ここで,
n は世代(n = 0, 1, 2, 3・・・),Xn は世代 n における個体数を規格化した値(0 ≦ Xn ≦ 1),a は繁殖率を示す.この式より,ある世代の個体数がわかれば,次の世代の個体数が計算できる.この写像をロジスティック写像という.