Windows 開発環境 (MSYS2)

MSYS2 は，Windows 上で UNIX/Linux と同じ UNIX風シェル環境を提供するものです．この上に MinGW を導入すれば，gcc/g++ コンパイラや各種開発ツールを用いてシェル環境上で C/C++ 言語プログラムを開発できます．

MSYS2 とは

MSYS (Minimal SYStem)は，Windows上で動作する UNIXシェル(Bash)や各種ツール類 (gawk, sed, tar など) を統合したプログラム開発環境を提供するパッケージです．コンパイラ環境である MinGW (Minimalist GNU for Windows) をより使い易くサポートするものです．MSYS2 は，MSYS の別バージョンとして MSYS とは独立に開発されています．

MSYS2 と MinGW のインストール

MSYS2 をインストールする手順は以下です (64ビット版をインストール)．

インストーラを MSYS2 の提供サイト (SOURCEFORGE MSYS2) などからダウンロードし，展開する．
i686 が 32bit版で，x86_64 が 64bit版です．
最新版のインストーラ (64bit版は msys2-x86_64-20yymmdd.exe) を取得して実行する (yymmdd は年月日)．
パッケージデータベースと核となるパッケージを最新状態に更新する．
```
  pacman -Syu
```
MSYS2 を一旦終了した後，再度起動する．その後，以下のコマンドによりパッケージを最新状態に更新する．
```
  pacman -Su
```
MinGW-w64 (64bit) の開発環境をインストールする．
パッケージマネージャ (pacman) を使って，以下のパッケージを組み込む．
```
  pacman -S base-devel
  pacman -S mingw-w64-x86_64-toolchain
```
その他，必要に応じて開発ツール類をインストールする．
例えば，エディタ vim やバージョン管理ツール git などのパッケージを組み込む．
```
  pacman -S vim
  pacman -S git
```
インストールフォルダに幾つか起動用のプログラムができる (mingw64.exe，mingw32.exe，msys2.exe)．それぞれ起動されるシェル端末の環境変数やパスの設定，起動できるプログラムが異なるので用途によって使い分ける．

MSYS2 の使い方

MSYS2 は基本的には UNIX/Linux 環境と同様にシェル(Bash)端末上でコマンド操作を行います．
64bit 環境の場合，"mingw64.exe" (Windowsメニューの MSYS2 MinGW 64bit) を起動すると，64bitプログラム開発用のシェル端末が起動されます．開発環境 (MinGW) が必要でない場合（シェル環境のみ）は，msys2.exe を起動します．

基本的なコマンド操作やオプションの指定方法などは，UNIX/Linux 上と同じです．例えば，C 言語ソースファイル test1.c，test2.c をコンパイルして実行ファイル test.exe を生成するコマンドは以下です．

  gcc -Wall -O3 -o test test1.c test2.c

ここで，-Wall は警告メッセージの表示，-O3 は最適化のオプションです．

MSYS2 の利用に関する主な留意点は以下です．

シェルのホームディレクトリは，MSYS2 のインストールディレクトリ配下の /home/<ユーザ名> です．
他のドライブのディレクトリは，/d/test 等で参照できます（Dドライブの test ディレクトリ）．

パッケージマネージャ (pacman) のオペレーションは以下です．詳細なオプション情報は，"pacman -S -h" のように各オペレーションの後に "-h" を付けて起動すると表示されます．

  pacman {-h --help}
  pacman {-V --version}
  pacman {-D --database} <option> <package>
  pacman {-F --files}    [option] [package]
  pacman {-Q --query}    [option] [package]
  pacman {-R --remove}   [option] <option>
  pacman {-S --sync}     [option] [package]
  pacman {-T --deptest}  [option] [package]
  pacman {-U --upgrade}  [option] <file>