情報セキュリティ管理
暗号の利用と規制
- ワッセナーアレンジメント (Wassenaar Arrangement)
正式名称は,「通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント」である (http://www.wassenaar.org).
- 武器輸出管理のための国際的な枠組み(1996年発足)であり,
- 通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の移転に関する透明性の増大及びより責任ある管理を実現し,それらの過度の蓄積を防止することにより,地域及び国際社会の安全と安定に寄与する.
- グローバルなテロとの闘いの一環として,テロリスト・グループ等による通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の取得を防止する.
を目的としている.
- 暗号機器は通常兵器などとともに,輸出管理品目リストに上げられている(一定の強度(DES56ビット相当)を超える暗号を対象).
- WA参加国はこのリストに基づき個別に輸出管理を行う.
- 米国の輸出規制
- DES56ビット相当以下の暗号はテロリスト支援国を除いて輸出可能(鍵配送用の場合には,共通鍵暗号112ビット,公開鍵暗号1024ビットまで可能)
- DES56ビット相当を超える暗号についても,以下の用途はテロリスト支援国を除いて輸出可能
キーリカバリ/キーエスクロー製品
金融関連トランザクション製品
米国企業子会社
- DES56ビット相当を超える暗号で,以下の用途は指定国(44カ国)に輸出可能
金融機関向け汎用暗号製品
オンラインマーチャント向け
健康、医療エンドユーザ向け
キーリカバリ機能付き(企業向け)
- その他は個別審査
- 日本の輸出規制
経済産業省の安全保障貿易管理課の
ホームページ上で「安全保障貿易管理について」の情報が提供されている.
原則として経済産業省に輸出許可を申請する必要がある.従来は,暗号の強度や用途に関係なく暗号技術を含む製品を海外へ持ち出す際には個別の審査と許可が必要だったが,1999年6月に輸出規制が緩和され,電子決済ソフトなどの特定用途の製品や暗号強度の弱い製品であれば事前に許可を受けなくても,事業者の判断で輸出が可能になった.